再帰呼び出し#
再帰呼び出しとは、ある関数が自分自身を呼び出すことを指します。 数学の漸化式をそのままプログラムで表現したものとして捉えることができます。
再帰呼び出しの例 1: 階乗#
\(n!\)(階乗)は、\(n\)以下の正の整数(\(1, 2, 3, …\))をすべて掛け合わせたものです。 これを数式で書くと、以下の通りです。
\[ n! = n \times (n-1) \times (n-2) \times \cdots \times 2 \times 1 \]
この\(n!\)を漸化式で表現すると次の通りです。 \(n!\)は、\(n = 0\)のとき1、それ以外のときは\(n \times (n-1)!\)となります。
\[ n! = \bigg\lbrace \begin{array}{ll} 1 & (n = 0) \\ n \times (n-1)! & (n \geq 1) \end{array} \]
この漸化式をプログラム(factorial関数)で表現すると、\(n\)が0のときは1を返し、それ以外の時は\(n \times (n-1)!\)を返す関数を定義することになります。
\(n \times (n-1)!\) の部分は、階乗を計算する関数は、factorial自身です。
そのため、n と factorial(n-1) を掛け合わせることで階乗を計算することができます。
なお、負の値の階乗は定義されていませんので、\(n\)が負数であった場合はエラー文を出力しましょう。 また、\(0\)の階乗は\(1\)と定義されます(\(0! = 1\))。
def factorial(n):
if n < 0:
return -1 # 負数の階乗は未定義です。
elif n == 0:
return 1
else:
return n * factorial(n - 1)
print(factorial(4)) # => 24 (4 * 3 * 2 * 1 = 24)基底条件と再帰条件#
再帰関数には、必ず次の 2 つの部分があります。
- 基底条件(base case): 再帰呼び出しをせずに答えを返す部分です。
factorialでは、n == 0のときに1を返す部分がこれにあたります。終了条件とも呼びます。 - 再帰条件(recursive case): 自分自身を呼び出す部分です。ただし、基底条件に 近づく 引数で呼び出さなければなりません。
factorial(n)はfactorial(n - 1)を呼び出すので、nは 1 ずつ減って必ず0に到達します。
どちらかが欠けていると、再帰呼び出しは止まりません。 何が起きるかは、次のページの再帰の練習で実際に確かめます。
再帰呼び出しのシミュレーション#
以下の画像をクリックすると、プログラムの実行箇所とその時のメモリの状態を確認できます。 最終的に 24 が出力されることをシミュレートしてください。

再帰呼び出しの例 2: リストの合計#
再帰呼び出しは、数だけでなく、リストのような「要素が並んだもの」にも使えます。 リストの合計は「先頭の要素 + 残りの要素の合計」で求められます。 これを漸化式で表すと次の通りです。
\[ \mathrm{total}(l) = \bigg\lbrace \begin{array}{ll} 0 & (l \ \mathrm{が空}) \\ l[0] + \mathrm{total}(l[1:]) & \mathrm{otherwise} \end{array} \]
基底条件は「リストが空なら合計は 0」、再帰条件は「先頭の要素と、先頭を除いたリストの合計を足す」です。
l[0] で先頭の要素、l[1:] で先頭を除いたリストが得られます(スライス)。
再帰呼び出しのたびにリストが 1 つ短くなるので、必ず空のリストに到達します。
def total(lst):
if len(lst) == 0:
return 0
else:
return lst[0] + total(lst[1:])
print(total([3, 1, 4, 1, 5])) # => 14
print(total([])) # => 0total([3, 1, 4, 1, 5]) は、次のように展開されて計算されます。
total([3, 1, 4, 1, 5])
= 3 + total([1, 4, 1, 5])
= 3 + (1 + total([4, 1, 5]))
= 3 + (1 + (4 + total([1, 5])))
= 3 + (1 + (4 + (1 + total([5]))))
= 3 + (1 + (4 + (1 + (5 + total([])))))
= 3 + (1 + (4 + (1 + (5 + 0))))
= 14もちろん、合計だけなら sum(lst) や for 文で書けます。
しかし「先頭の要素と、残りの部分の答えを組み合わせる」という考え方は、for 文では書きにくい問題にもそのまま使えます。
週次課題の硬貨の両替がその例です。
